鳴尾浜の海と月に

ベンチに座って話し続ける。カフェからの続きの話。現実を見ようとしなかった、臆病な恋の話。今日、初めて人に話したことで本当に終わらせることができた。嘘みたいに気持ちがスッと昇華していった。自縛霊が成仏した様な感覚。薄暗かった空が真っ暗になって刻々と時間が過ぎてもずっと話していたい気分だった。なんだか幸せを予感する明るい心の変化だった、少しも哀愁がないとは言い切れないけど。無駄だったとは絶対言えない、私にとって必要だった時間と経験。運命というものはやっぱりあるんだなと身にしみた。世の中うまくできてる、得ばかりしている人なんて誰一人いない。何かを得て、何かを失って、楽しみ苦しみ生きているんだろう。